「父に出来なかった事」

父が他界して早4年になる。一時は生死の境をさまよう位に状態が悪かったが、奇跡的に回復。病院のスタッフさんも驚いていた。

それでも下肢筋力は低下し、酸素吸入は欠かせない状態、介護保険を申請し同居の母と一緒に一応父に確認、「退院出来る様になったら施設で過ごしたい?家で過ごしたい?」当然家を選択!その後不思議な質問を受けた。

『ケアマネージャーはどうしたら良い?』、「えっ、俺がするつもりやけど、駄目なん?」『お前してくれんか。それやったら安心や。』そう嬉しそうに言ってくれた事を覚えている。

それから父と母に必要になるであろうサービス(福祉用具貸与・通所リハビリ・訪問看護)を説明し、国見苑のパソコンでこっそり暫定のケアプランを作成。今までで一番真剣に考え、かつ一番早くプランを作成する事が出来た様に記憶している。

そんな父との別れは本当に突然だった。前日の夕方、たまたま面会に行きどうでも良い様な話しをしていたと思うが、最後の言葉は覚えている。「ほな、また来るわ。」『おう。』これが最後。

翌朝急に意識を失いそのまま逝ってしまった。残されたのは渡される事の無かったケアプラン。

使われる事は無かったが、それ以来そのケアプランを時々見返して、他の利用者さんにも父の時と同じ様な気持ちで接したり、ケアプランの作成を行う様に心掛けている。父に出来なかった事をさせて貰える様に。

 

(法人内会報より)